社内用のオフィス移転マニュアルの作り方
東京都の賃料は安くはないので、生活様式が変わったことによって、業務にあった最小の規模のオフィスへの移転を考えている企業も多くあるようです。移転となると業務が滞るなどの期間が発生して、その分の収入に影響する恐れがあります。できるだけ短い期間で移転するためには、しっかりとした移転マニュアルを作っておいた方がよいでしょう。
オフィス移転で注意しなければならないこと
オフィス移転となったときに「単なる引越し」と考えてしまうと、トラブルが発生してしまう可能性があります。物理的な移動は比較的計画しやすく、大きな問題になることはありません。それよりも、今まで行っていた業務ができなくなる期間があるということが問題になります。それゆえに、業務の継続という視点で計画をしなければいけません。
業務の継続というのは、新しい場所でいままでしていたことを実現するために何が必要かを考えることです。場所が変わったことでそれほど大きな変化が起こると思わないかもしれませんが、ちょっとした動線の変化がパフォーマンスに与える影響は少なくありません。とくに規模の変化は設備や手順の変更を必要とすることが多くあります。設備や手順の変更点を比較して、現場に説明する機会が必要となります。
なかなか実感がわかないこともあるので、トライアルで感覚を確認してもらう方法もあります。主要となるシステムであれば必ず問題点を確認しておかなければいけません。移転ではなくシステムの変更として考えて計画した方が安心です。従業員の通勤経路なども変更になるため、事前に申告させてトラブルにならないようにしておいた方がよいでしょう。意外と気に留められないことが、昼食などのサポートです。東京ではランチタイムの混雑は大きな問題となります。
オフィス移転をスムーズに行うためのマニュアルの作り方
オフィス移転のマニュアル作成は、手続きや引越し、業務や環境などのカテゴリーに分けて作成すると漏れがなくなります。それぞれ別々に作成して、後から編集しながら調整をするとわかりやすいでしょう。最初から日程をメインとして考えると複雑になりすぎて混乱することになります。すべきことを時間に落とし込んでいく作業の方が、漏れなく進めることができます。
マニュアルを作成するときは、できるだけチームで行った方がよいでしょう。主担当を決めることも重要ですが、すべてを1人で考える必要はなく、専門性のある人に作ってもらう方が正しいものができ上がります。そのときに大切なことは、スケジュールは決定させないということです。期日を書き込ませる形式で調整可能な状態にしておくと、後からトラブルにならないので安心です。
マニュアルにはどのように実施するかではなく、結果としてあるべき状態を記入させて、必要なら手順を追記してもらうぐらいにしておくのがおすすめです。よくあることとして、実際にやってみると思っていたのと違ったということがあります。記載されていることが使えなくなるとその場で新しい手順を決めなければいけません。
結果を決めるだけであれば、現場で状況に合わせて適当に対応ができます。それでも完成した状態は変わらないはずですから、最終的には問題になりません。自由度の高いものに作り上げた方が現場での混乱が起きにくいのでおすすめです。
オフィス移転のマニュアルはそのあとが大事
オフィス移転は終わった後の方が重要です。新しい職場で業務を始めた時に、細かなトラブルは発生するでしょう。そのときに前はどうしていたか、何をどう変えたのかを確認できるのがマニュアルです。計画通りに実行できることはまれで、必ず当日に変更されることがでてきます。それらを記録として残しておくと、後から発生したものに対して対応がスムーズになります。
主担当だった人は、移転後にできるだけ多くの情報を収集して移転の記録を作り上げましょう。そして、それを共有できるように社内に公開することが重要です。何かわからないことがあればそれを見直して検討します。とくに規模が変わったときなどは、大きな変化が発生します。思っていたこと以外で修正を必要とすることがあるでしょう。
新しい場所で仕事をする上でのルールも重要です。ゴミの出し方や施錠の仕方など、一部の人だけが知っているのは意味がありません。新たに入社する人にとってもそのようなルールブックがあれば理解しやすくなります。移転マニュアルをその後も継続して改定すると、企業の業務マニュアルとして利用可能です。設備のリストや人員の配置なども元のデータとして使うことができて便利です。
行政への手続きについてもリスト化してあると、確認のためのチェックリストとして使うことができます。移転マニュアルは業務継続の手順でもあるので、災害対策を検討する際の元にもなるはずです。
賃料の高い東京でのオフィスエリアの確保は、収益に大きく影響します。ビジネスの戦略としてさまざまな検討が必要となります。時には何度も繰り返し移転することも考えられますので、マニュアル化して効率的に実施できるようにすると負担が少なくなります。