オフィス移転に必要な届出一覧
オフィス移転を行うときには、物理的な移動でも大変な労力ですが、行政に対する届出も忘れるわけにはいきません。期限が設定されているものもあるので計画することが大切です。失念していて困ったことにならないように注意しましょう。東京内での移動であっても、フロアの変更ではなく所在地が変わるようであれば変更が必要になります。
届出が必要となる移転の種類とは?
オフィス移転を行うときには必ず届出が必要になるかというと、そういうわけではありません。たとえば同じ建物内のフロアの移動です。狭くなったので同じフロアではあるけれども少し広いところを借り直すようなときには所在地が変わりません。この場合には、届出を必要としないケースがほとんどです。
他にもエリアの拡張や縮小なども同じ理由で不要となることがあります。行政に届出ている内容が所在地のみであれば、それが変わらない限り届出は必要ないということになります。ただしエリア図などを提出しているような場合では、いずれの場合も変更があるので、手続きが必要になるでしょう。行政の求める内容によって判断するしかありません。
その他社内を分割するような場合も不要となることがあります。ビジネスの拡大によってある部門を社外に移転するようなケースでは、企業の主要部分が残るのであれば、とくに届出を行わなくても問題ありません。ただし新たに開設する事務所の規模や形態によっては、追加の届出を行わなければならないこともあります。取扱事業ごとに要件が異なることもあり、それぞれの条件に合わせて要否を考えなければいけません。
現在届出ている内容を確認して、移転時の要件を把握しなければいけません。場合によっては東京都庁や各区役所に事前に相談して、あとからトラブルにならないように注意しましょう。
オフィス移転の計画時に注意すべき点
移転を行うときには、トラックの手配や新居の設備の設置などスケジュール調整が必要です。届出によっても同じように計画的に行動しなければいけません。設備などに関する遅延とは異なり、違法になる恐れもあり、コンプライアンスの観点から優先順位を高めに設定する必要があります。
遵法を維持しながらオフィス移転を行うためには、まず必要な届出のリストが重要です。現在の届出を確認し、それに対する変更の要否を検討するところから始めると簡単です。これは関係ないと思われるものもリストに載せることで検討したことが記録として残ります。
リスト化が済んだら期限を確認して記載します。中には事前に行わなければいけないようなものもあり、手遅れになることもあります。期限が短いものから順にソートしておくと待ち合いが少なくて安心です。そして必要な書類を追記します。ある手続きが終わった書類を添付しなければならないなど、関連性があることも考えられるので、それがわかるような並べ方やコメントを追記します。
提出先も重要で、東京都庁の管轄部門や窓口なども明確に記載すると便利です。手数料も含めて記載しておきますが、収入印紙など支払い方法を特定しておくと間違いがありません。完了したものからチェックしていけば、進捗がわかってわかりやすいはずです。一度作成すると次のオフィス移転の際にも使えるので有効です。
オフィス移転の基本的な届出とは?
一般的な企業がオフィス移転を行うときに必要となる届出は、まず登記の申請になります。法務局に対して企業の登記を行っているためその内容の変更を申請しなければいけません。本店の所在地や支店の住所などを変更申請します。これは2週間以内に行うよう規定されています。期限を過ぎると代表者個人が100万円以下の過料の制裁を受ける可能性があります。
税金に関する手続きとして納税地の変更や給与支払い事務所の移転、事業開始等申告の手続きする必要があります。給与支払い事務所については1ヶ月以内、事業開始は10日以内、それ以外は遅延なくとなっています。社会保険に関するものでは、適用事業所所在地名称変更(訂正)届を社会保険事務所に5日以内に提出しなければいけません。事業主事業所各種変更届は公共商業安定所が受け付けとなり、移転日から10日以内に完了させなければいけません。
公共職業安定所労働基準監督署が求めている手続きに労働保険名称・所在地等変更届を速やかに提出することや、労働保険関係成立届を保険関係が成立してから50日以内に提出することがあります。労働基準法や安全衛生法に関する手続きは遅延がないように新しい場所の所轄監督署に届出を行います。
その他必要に応じて消防署への防火管理者選任届や郵便局への転居届、警察への車庫証明などがあります。これらは基本的なものばかりで、専門的な内容についてはこれとは別に行わなければいけません。事前に余裕を持って確認しておきましょう。
オフィス移転は企業にとって大きなイベントです、とくに地方から東京に進出するような場合には、とても忙しくなってしまうでしょう。必要な手続きが漏れてしまわないように、しっかりと手続き関連のリストを作って進捗を確認して進めましょう。